異世界の詩

見習い詩人のエオルゼア冒険記ブログ

リウィア討伐戦

「イーディス・フォルトゥーナ、ずっと会いたかったわ」

私達の前に姿を現したダルマスカの魔女……リウィア・サス・ユニウスは、真っ直ぐに私を見据えながらそう言った。
どうやら、相手は私の事を調査済みらしく、名乗ってもいないのに、フルネームで呼びかけられてしまった。

「私はあなたを知っていたけど、面と向かって会うのは初めてですものねぇ。私と少し、遊んでみない?」

そう言って、わざとらしく姿を作るリウィア。
マスクに覆われて、表情は一切見えないものの、その下に隠されている眼光が怪しく光っているのが容易に想像できる。
私達は、油断なく武器を構え、何時でも戦闘に入れるように体制を整えながら、彼女の言動を見守っていた。

「あなたの力がどれほどのものなのか……興味があるわ!」

そして、彼女のその言葉が、戦いの火蓋を切って落としたのだった。

 

リウィアは、自ら駆る魔導アーマーに乗ったまま、攻撃してきた。
彼女専用にカスタマイズされたと思われるその機体は、他の魔導アーマーとは明らかに動きが違っていた。
その上、リウィアの操縦も一級品で、数の有利をものともしない戦いを繰り広げていたのだった。

「強い…!!」

全員で戦っているというのに、抑え込むのすら厳しく、ジリジリと押されつつある状況に、私は舌を巻いた。
その上、戦いに気が付いた帝国兵が、散発的に駆けつけては邪魔をしてくるので、旗色は悪くなる一方だった。

その時、私は視界の端にあるものを発見した。
それはどうやら迫撃砲の様で、その傍には弾薬補給用の魔導デスクローの姿も見える。

あれ、使えないかな…?

近接戦を行っているところに砲撃なんて非常識にも程があるけれど、逆に、それがリウィアの意表を突けるかもしれない。
私は、周りに居た何人かに目配せを送ると、迫撃砲に取りついたのだった。

 

「みんな、避けて!!」

そして、迫撃を行う直前、リウィアと近接戦を行っていたみんなに声をかけた。
一瞬、動きが止まってみんなだったけれど、すぐに私の意図を察してくれて、素早く散開する。
そこへ空かさず、迫撃砲を操作して、私は榴弾をリウィアの魔導アーマーへと撃ち込んだのだった。

ドドン!!

次の瞬間、リウィアは魔導アーマーごと、爆炎に包まれた。

「ちっ…!」

しかし、リウィアは、魔導アーマーが爆発する瞬間に機体から飛び出し、何事もなかったかのように着地した。
そしてゆっくりを立ち上がると、再び私の事を真っすぐに睨み付けて来たのだった。

 

「ガイウス閣下は、あなたの超える力にご執心だった。だから、いったいどんな雄健な者かと思っていたら……案外、普通の冒険者なのねぇ」

そう言いながら、値踏みするように私を見るリウィアは、こんな者が英雄として持て囃されているなんて理解できないと小首を傾げる。
……まぁ、わたしも、自分が英雄だなんて思ってはいないけれど……。

「でも、あなたのために、私たちが多くの犧牲を出したことは事実よ……リットアティンを殺ったのも、あなたなんでしょう? ……たかが、ひとりの冒険者のために、私たちは……アタシは、いろいろなものを失っていく……何が英雄か……何が超える力かッ!」

そう言いながら、段々、彼女の声が高くなっていくのに気が付いた。
口調も段々とヒステリックなものへと変化していっている。

「貴様は、アタシから全てを奪っていく! 部下も、仲間も、そしてガイウス様の心も! もう何も奪わせない……!」
「ガイウス様の夢も、ガイウス様の心も、ガイウス様の体も、ガイウス様の唇も! 全部、全部ッ! アタシのモノだッ! アタシは二度と失わない! ガイウス様に拾っていただくまでの、何も持たない抜け殻のアタシには、二度と戻らない!」

 

「アタシの名は、リウィア・サス・ユニウス! 貴様だけは、この手で切り刻むッ!」

そう言って、リウィアは、改めて私達に襲い掛かって来たのだった。

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