異世界の詩

見習い詩人のエオルゼア冒険記ブログ

エッグハント(後編)

「なんか、想像してたのよりも全然おっきい……」

ノノッタちゃんが用意したという、エッグシステムと呼ばれるそれは、見た目は確かに可愛かったものの、かなりのサイズのものだった。
加えて、羽も気球もついていないのに、空中に静かに浮かんでいる状態を見るに、結構な魔導技術が使われているのが見てとれる。

……これ、一般人が手に入れて良いものじゃないような気が……。

「そのへんにあるボタンをポチっと押してみて!」

ノノッタちゃんの隣で、エッグシステムに乗せてくれたモットさんが、指さしながら教えてくれた。
それ言葉に従って、てっぺんの辺りを探してみると、確かにちょっとした突起物があった。

パッカーン!

試しにそれを押してみると、軽快な音を立ててタマゴが開き、中から子チョコボの人形が飛び出て来た。
ノノッタちゃん達によれば、この機能を使って、お祭りに参加している人たちを驚かせてほしいという。
確かにこれならみんなびっくりするだろう……乗ってる私もびっくりしたけれど。

 

「エグ、エグ、エ~グ、エッグラホ♪ 冒険者さん、おかえりなさい!」

森の中で待ち構えていたお祭りの参加者を、エッグシステムのびっくり機能を使って驚かせた後、私は、再びノノッタちゃんの元へと戻っていた。
びっくりさせた事を証明する、カラフルに塗り上げられたタマゴを3つ手渡すと、彼女は諸手を上げて喜んでくれた。

「おーい、実行委員さーん!」

その時、お祭りの参加者達が、ノノッタちゃんの元へと走り寄って来た。
一瞬、なにか不手際があったのかと思ってしまったけれど、みんな興奮しつつも顔には笑みが浮かんでいたので、その心配は無さそうだった。

「いやぁ、びっくりしたよ! タマゴ以外にも驚かしてくるやつがいるんだね!」

ただ、彼らが興奮している理由は、私達に戸惑いをもたらすものだった。
なんでも、大きな石に乗ったスプリガンが、私と同じように、参加者のみんなを驚かせて回っていたらしい。

「スプリガンまで参加してるなんて、このお祭りはすごいね! あのスプリガン、グリダニアに向かっていったけど、街の中でも驚かしに行くのかな!」
「かもしれないね! いやー、それにしても驚いた! すごく楽しかったよ、ありがとう!」

そう言って、引きつった愛想笑いを浮かべるノノッタちゃんを残して、彼らは更にお祭りを楽しむために、グリダニアの方へと去って行ったのだった。

「……冒険者さん、ノノッタたち、大きな石に乗ったスプリガンのことなんて知らないですぅ~。なんだか、トラブルの予感……もうちょっと、協力してくれる?」

その姿を茫然を見送った後、困惑の表情を浮かべたまま、ゆっくりと私に向き直ったノノッタちゃん。
そんな彼女にお願いされた私は頷いて答えると、ノノッタちゃんと一緒にグリダニアに向けて駆けだしたのだった。

 

グリダニアに戻った私達を待っていたのは、巨大な鉱石に乗ったスプリガン、リィギーだった。
途中で合流したジリさんと共に、グレートノーム農場で興奮しているリィギーの元へと駆けつけた私達は、とりあえず、その興奮を宥めながら、話を聞くことにしたのだった。

「リィギー、ワリクナイ! オマエ、ヤッテタ、マネシタダケラ!」

興奮醒め止まないリィギーの言葉を聞いていると、どうやら、森の中でエッグシステムに乗って人を驚かせていた私の姿と、それで喜ぶ人達の姿を見て、リィギーも真似したくなったらしい。
ところが、グリダニアに来てみれば、人々は喜ぶどころか逆に怒り始めてしまい、リィギーは納得がいかない様だった。

うーん……リィギーの気持ちも解るのだけど、かと言って、流石に街中で魔物が自由に闊歩しているのを鬼哭隊の人が許す筈もないしなー……。

「そうだ! リィギーちゃんも一緒に遊びましょうよ! みんなきっと、楽しく遊べるはずだわ!」

どうしたものかと思案していると、ジリさんが、手を叩きながら提案してきた。
そして、グリダニアの街中ではなく、ハーストミル付近で遊ぼうと、リィギーに声を掛けたのだった。
確かにハーストミルなら、元々、そう言う催し物を行っていたのだから、今さら怒る人も居ないだろうし、グリダニアの街中でやるよりは安全だろう。

「リィギー、アソブ! ヒト、アソブ、リィギー、アソブ!」

どうやらリィギーにも異論はない様で、ジリさんのその提案に飛び上がって喜んだのだった。

 

それから私達は、再びハーストミルに戻り、リィギーを交えてのエッグハントを楽しんだ。
最初は驚かす側に回っていたリィギーも、やがて驚かされる側に回り、人と魔物の垣根を越えた交友関係がそこに生まれていた。

「エギ、エギ、エギラ、エギラララァ~ッ♪ リィギー、マツリ、テツダイ! トモダチ、イッパイ、タノシイラ!」

日が暮れるまで遊び、目一杯お祭りを楽しんだリィギーは、文字通り、飛び跳ねる様に喜びながら声を上げていた。
それを見て、私も、ジリさんも、周囲に居た人達も、みんな楽しそうに笑みを浮かべている。

 

「本当にありがとう、イーディス! リィギーちゃんっていう、新しいお友達ができるなんて、夢にも思わなかったわ!」

その時、ジリさんが私の手を取りながらそう言ってきた。
私が、彼女の手を握り返しながら、自分も同じ思いだと答えると、彼女は満面の笑みを浮かべた。

「夢……夢……そうか、そうだったわ! ノノッタちゃん、イーディス! チョコボが産んだ宝石は、リィギーちゃんのことよ!」

その時、ジリさんは何か思い当たった様に、手を合わせながら声を上げた。
どうやら、彼女が夢に見たという「タマゴから生まれたチョコボが宝石を生む」という夢は、この状況の事を暗示していたのだという事らしい。

「リィギーちゃんは、すごく綺麗な石に乗っているでしょ? それに、リィギーちゃんと遊んだ人たちの笑顔が、ピカピカ輝いているもの! また、夢が実現したんだわ! あなたのおかげね、イーディス!」

ただの偶然だと言われればそれまでなのかもしれないけれど、私は、ジリさんの言う通りなのだろうなと、屈託なく笑い合っているリィギー達の姿を見ながら、笑みを浮かべたのだった。

4 Responses to “エッグハント(後編)”

  1. より:

    エッグハントお疲れ様です。
    あの卵、ミコッテが乗るとしがみつく格好になるんですよー。
    「……かっこ悪」と思ったり思ったり。
    フォムト「つーか、なんでみんな器用に座れんの!? 」

    アラグ帝国については、クリスタルタワー関係クエストで色々わかるかと。
    モードゥナにいる異国風の男の人に話しかけてみるといいですよー。

    1. イーディス より:

      エッグシステムは、確かに、引っかかるところもなさそうなので、みんな器用に乗っているなぁと思いつつ、一番、DEXの高そうなミコッテさんが、上手く乗れていないのが不思議ですw

      クリスタルタワーも進めてはいるのですが、非常にゆっくりですねー。
      でも、近いうちに、チャレンジしたいと思います(^▽^)/

  2. (´・ω・`)らんらん より:

    (´・ω・`)イーディスたんは光のお父さん見てるん?

    (´・ω・`)らんらん、更新ないからイーディスたんロスよー。

    1. イーディス より:

      はい! 見てますよ~!
      第2話も、楽しく見させて頂いて、こんなドラマが見られる日が来るなんてと喜んでいます!

      更新の件は、すみません!
      書かないとと思ってはいるのですが、なかなか筆が進まなくて…(;´・ω・)
      でも、近いうちに、絶対更新しますので、もうちょっと待っていてくださいね!

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