異世界の詩

見習い詩人のエオルゼア冒険記ブログ

新たなる厄災の兆し

レヴナンツトールに、本部を移転する事が決まってから、暁の慌ただしい日々が始まった。
これまでも、暇をしていたというわけでは無いけれど、プラエトリウム城での戦いの後、具体的な目標を失っていた感のある空気に、変化が生まれたのは確かだった。

ただ、流石に一つの組織を、それも各国への発言力も影響力もある暁が移転するとあって、根回しをはじめとする手続きも大変みたい。
その辺りの事務的な処理に関しては、私の出る幕は無いので、もっぱら、アルフィノくんとミンフィリアさんが奔走していたけれど。

その代わり、私は、暁に所属している冒険者の代表として、レヴナンツトールの冒険者ギルドに出向き、現地での受け入れ態勢を整える為の行動していた。
外壁強化の為の石材を集めたり、怪しい動きを見せる帝国の基地に潜入しての妨害工作を行ったり。
なんだか、途中からは、冒険の最前線に腐心する冒険者達の意識を、街の方に向かせるためのプロパガンダとして利用された気もするけれど…まぁ、だれかの役に立てているのなら、それはそれで構わないかな。

そうして、レヴナンツトール側の暁の受け入れ準備が整った頃、グリダニアからの急報が、砂の家にもたらされたのだった。

 

「イーディス、探していたわ! 先ほど、グリダニアの双蛇党から連絡があって、どうやら、新たな蛮神が出現したらしいの」

砂の家に入った私を待っていたのは、緊張した面持ちのミンフィリアさんと、ウリエンジェさんだった。
…いや、ウリエンジェさんは、いつもと変わらないか…。

2人の話では、その反応は、ガルーダでも、既知の蛮神のものでも無いみたい。

「このタイミングで新たな蛮神だなんて……何かの意思が働いているとしか……いずれにせよ、放っておけない。至急、グリダニアへ向かってくれるかしら」

蛮神を動かす意志なんて、アシエン以外に考えられないけれど…ミンフィリアさんの言葉に頷いた私は、イダさん、パパリモさんと共に、グリダニアへと向かったのだった。

 

「来てくれてありがとうクポ! 助けてほしいのクポ! このままじゃ、森で大戦争が起こっちゃうクポ!」

グリダニアの、不語仙の座卓を訪れた私を出迎えたのは、慌てに慌てまくっている、モーグリ族のクポロ・コップの訴えだった。

「急なお呼び立てに応じていただき、感謝しております。暁の協力が必要な事象が起こったのです」

説明が説明になっていないクポロに代わって、カ・ヌエ様が、そう言って私達に事の次第を説明してくれた。
それによると、どうやら、モーグリ族が、善王モグル・モグXII世を召喚したのだという。

「…善王モグル・モグⅫ世…?」

私は、聞き覚えの無い名前に首を傾げた。
クポロや、カヌ・エ様の説明では、どうやら、モグル・モグ王というのは、モーグリ族に伝わる、伝説の王様らしい。
ただ、それは、おとぎ話の絵本に出てくるような存在で、他の蛮族の様に、神として崇め奉られていたわけでは無いみたい。
だというのに、他の蛮神召喚と同じように、モグル・モグ王は召喚されてしまった。

「神様として崇めてたわけじゃないのに、クリスタルを捧げて、お祈りしたら出てきちゃうだなんて、もうメチャクチャだね」

イダさんが、肩を竦めながら、そう言い放った。
私も、出鱈目が過ぎると思ったけれど、事実として、召喚は成功してしまっているのだ。

「でも、蛮神ガルーダは倒され、残留している帝国軍も静かになっている状態だ。蛮神と同じような現象とはいえ、モーグリ族が窮地に陥っているなんて話は……」

「……それよ。短い期間に黑衣森を、いえ、エオルゼア全土を巻き込んだ大きな戦いが立て続けに起こった。渦中にあったあなたたちにとっては、今は落ち着いている状態と言えるでしょうけど、周りからみれば、いつまた戦いが起こるかわからない。みな、平穏に暮らしているかのように見えて、怯えているわ」

パパリモさんの呟きに、隣に居たラヤ・オ・センナさんが応える。

確かに、当事者である私達ですから、落ち着いたとはいえ、脅威が完全に去ったとは思っていないのだから、周囲からすれば、未だ渦中にいると思っても不思議じゃない。
今回の事は、そんな疑心暗鬼のストレスによるものなのかも知れない。

 

「彼らの目的は、シルフ族と同じなんだね。自分たちの森を守りたいだけ……か」

イダさんの呟きに、みんなが神妙な表場を浮かべた。

「……しかし、その王様が蛮神と同じ存在だとすると、モーグリ族もテンパードにされる可能性がある」

パパリモさんのその言葉に、私はハッとなった。
確かに、その危険性は高いと言わざるを得ない。

「ええ……それだけは、なんとしても避けなければなりません。このまま、善王モグル・モグXII世を放置すれば、モーグリ族全体のテンパード化も懸念されます。戦火が森に広がる前に、ぜひ抑止をお願いしたいのです」

そう言って、真剣な面持ちで私を見つめるカ・ヌエ様に、私は力強く頷いて応えたのだった。

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