「大きくなぁれ~。大きくなぁれ!」
グリダニアには、昔から、豊穣の踊りと呼ばれる、豊作を願う、農耕の踊りが伝えられている。
その舞は、種を蒔き、農作物が大きく育つ様に、祈りを捧げる振付になっている。
とあるきっかけで、この舞を教えてもらったのだけれども、こういった、その地域特有の踊りは、リムサ・ロミンサや、ウルダハにもあるらしいのよね。
らしい…というか、リムサ・ロミンサの踊りに関しては、以前、おねーちゃんを探していた時に、偶然、それを見る機会があって、既に知っていたりするんだけど。
リムサ・ロミンサの海賊たちに伝わるダンス。
それが、ステップダンスと呼ばれる踊り。
なんでも、昔、お酒ばかりか、酒宴でのダンスすら禁止を言い渡した提督が居たらしく、その監視の目を誤魔化すため、上半身を固定して、下半身だけで踊るダンスを編み出したのがはじまりだとか。
今でも、海賊たちの酒宴の席では、ステップダンスで勝負するのが習わしらしい。
そして、ウルダハにも、ご当地ダンスがあると聞いた私は、早速、ウルダハに来たんだけど…。
「私が、舞踏家のギヨーノだが……もしや、弟子入り希望者か?」
どうやら、この人が、ウルダハで、ダンスを教えてくれるという人みたい。
道中、街中で聞き込みをしてきたんだけど、結構、有名人な人…なのかな。
「弟子になりたい程では無いんですけど、ウルダハの踊りを教えてくれるって聞いて、是非、知りたいなぁと思って!」
「…いや? 私の踊りは、クルザスの宮廷舞踊だが…」
「あれっ!? あ、でもでも、その踊りも知りたいです! 教えてください!」
「では、まずはおまえ自身の踊りを見せてみろ。それによっては教えても良い」
えええ。ここで!?
ま、まぁ、いいか…ちょっと、恥ずかしいけど…。
「………。ほう、なかなかだな。粗削りだが、内に秘めた魂の躍動を感じる。良いだろう」
そういうと、ギヨーノさんは、キレのあるダンスを披露してくれた。
それは、自身の成長を披露するかの様に、ぐぃっと背筋を伸ばし、胸を張る、とても堂々とした振付だった。
クルザスは、歴史も古いし、貴族が大きな力を持っている国だと聞いている。
舞踏会での踊りは、その御家の名誉を現し、決して、他者に媚びるようなものであってはならない。とでも言っているかの様なダンスだった。
早速、振付を再現してみる。
振付自体は、そんなに難しいものでもなさそうだけど、たぶん、舞踏会とかになると、こんな付け焼刃じゃダメなんだろうなぁ。
「ほぅ……まぁ、悪くない。だが、もっと精進するのだな」
私の踊りをみて、ギヨーノさんは一応、褒めてくれた。
……褒めてくれたよね?
私が、ギヨーノさんにお礼を言うと、彼は、飛空艇に乗って、次の街へと出発してしまった。
なかなか、忙しい人なんだな~。
なんだか、予定とは違ってしまったけれど、これで、3つのダンスを習得することが出来たので、良しとしよう。
あ。これが、ウルダハのご当地ダンスなのかしら!?