異世界の詩

見習い詩人のエオルゼア冒険記ブログ

究極幻想アルテマウェポン

ガイウスを追って、工房内部へと侵入した私達を待っていたのは、全ての調整準備が完了した、アルテマウェポンの姿だった。
改めて近くで見ると、その巨大さがよく判った。

「…ガイウス!」

その時、アルテマウェポンの肩の上に、ガイウスが姿を現した。
ガイウスは、再び剣を私に向けて突き付けながら、見下すように視線を投げつけてくる。

「教えてやろう! 力の使い方を!」

ガイウスはそう言い放つと、アルテマウェポンへと騎乗した。
やがて、駆動音を響かせながら、動き始めるアルテマウェポン。
同時に、工房全体が、まるでリフトの様に上へと昇り始めた。

私達は、出来るだけ散開しながら、いつでも戦えるように、戦闘態勢を整える。

「見せてやろう! このアルテマウェポンの真の力を!」

そして、アルテマウェポンの内部からガイウスの声が響くと同時に、アルテマウェポンとの、ガイウス・ヴァン・バエサルとの決戦は始まったのだった。

 

アルテマウェポンとの戦いは、これまで経験してきたどの戦いよりも無茶苦茶だった。
その大きさもさることながら、反則と言いたくなるような、魔導兵器の数々による攻撃、生半可な攻撃など簡単に弾く装甲。
その全てが規格外であり、人が生身で対峙する様なものでは無い事を否応なく痛感させられていた。

「蛮神どもを食らい、究極へと至った力……貴様では及びもしまい!」

圧倒的な力の差を見て、ガイウスが吠える様に声を響かせてきた。
たしかに、このままではジリ貧は目に見えているし、なにか手を打たなくちゃ…。

『……光のクリスタルを手にし者よ。それは、闇が作りし機械仕掛けの神……光のクリスタルに願うのです……闇の力を打ち砕く……光の力を!』

その時、頭の中に、ハイデリンの声が聞こえて来た。
その声と同時に、持っている光のクリスタルが、僅かに熱を帯び始めているのを感じた。

「ガルーダのエリアルブラストで消し飛ぶがいい!」

光のクリスタルの変化に戸惑っている中、ガイウスの声が響いて来た。
それと同時に、アルテマウェポンに風属性のエーテルが集まり始めているのを感じた。

今ここには、エリアルブラストの効果を邪魔する石塔は無い。
ガルーダの使う技と同等の威力があるとすれば、全滅は必至だろう。

……ガルーダを倒した時の様に、風のエーテルを奪えれば……。

私は、ガルーダと戦った時の事を思い出していた。
あの時、エーテルを吸い上げ続けるガルーダから、私はエーテルを奪い、その力を弱体化させることが出来た。
あれと同じことをアルテマウェポンに対しても行うことが出来れば…。

そう思った時、光のクリスタルが更に熱く熱を帯びたのを感じた。
緑の光を放つ、風の光のクリスタルを取り出すと、それが一段と光り輝いているのが見えた。
そして、それをアルテマウェポンに向けて掲げながら、私は、イメージした。

風のエーテルを、アルテマウェポンが奪ったガルーダの力を、奪う、と。

その瞬間、光のクリスタルから緑の風が溢れたかと思うと、アルテマウェポンに纏わりつくのが見えた。
それは私だけにしか見えていない様だったけれど、その風は、アルテマウェポンを包み込んだかと思うと、その巨躯からガルーダを引き剥がしていた。

「バカなッ!? 外部から蛮神ガルーダを引き剥がしたというのか!」

それと同時に、ガイウスの驚愕した声が聞こえて来た。
引き剥がしたガルーダの姿が霧散して消えていくのを確認しながら、私は、上手くやれた事を確信したのだった。

 

「蛮神イフリートまでも引き剥がしただと!? ……何なのだ、この力は!?」

その後も、ガイウスは、タイタンの力を、そしてイフリートの力を使おうとしてきたけれど、その度に、私は同じようにして、アルテマウェポンから蛮神の力を引き剥がした。

「なぜだ、なぜアルテマウェポンの力が通用せぬ!? この兵器の力は、絶対ではなかったのか……それほどまでに、この冒険者の力が優っているというのか!?」

攻撃の手を止めたアルテマウェポンから、ガイウスの焦りの色を濃くした声が聞こえて来た。
力を信奉するが故に、力が通用しない事に納得がいかないのかも知れない。

「光の力だ」

その時、アルテマウェポンの横に、アシエン・ラハブレアが……サンクレッドさんが姿を現した。

「この冒険者は、光のクリスタルの加護を受けている」

「その光の加護が、この者の力を増幅させていると?」

アシエン・ラハブレアの言葉に、ガイウスが問い返した。
そして、ラハブレアはそれに頷き返し、さらに言葉を重ねて来た。

「さよう……光の加護を打ち払うには、闇の武器で打ち払えば良い。アルテマウェポンには、お前たちに明かしていない本来の力……究極の武器がある」

どうやら、ラハブレアは、ここに来て、更にガイウスに肩入れをするつもりらしい。
とは言うものの、遥か頭上で交わされている会話に、割り込むことも、ましてやラハブレアを排除することも出来ず、私達はその動向を見ている事しか出来なかった。

「古代アラグ帝国の超文明ですら、その表層しか解明できなかったアルテマウェポンのコア、黑聖石サビク。そのコアの中には……ある魔法が秘められていてな」

「……魔法だと?」

ラハブレアの言葉に、ガイウスが懐疑的な声を返す。

「その名は、究極魔法アルテマッ! 蛮神たちを吸収したのも、この本来の力を取り戻させるために過ぎぬッ! これこそが、アルテマウェポンの真の力ッ!」

そう言うとラハブレアは呪文を唱え始めた。
それと同時に、アルテマウェポンを中心として魔法陣が描かれ始め、凶悪ともいえる巨大なエーテルの奔流が、その中心へと収縮して行く。

「…くっ!」

どう考えても、この魔法を発動させたら不味い事になるのは判り切っているのだけれど、そのあまりにも激しいエーテルの流れに、立っているのがやっとの状態の私達は、それを見ている事しか出来なかった。

「唸れ、アルテマウェポン! 我が真なる神の一端を見せてみろ!! 渦なす生命の色、七つの扉開き、力の塔の天に至らん! ……アルテマッ!」

そして、ラハブレアのその声と同時に、全ては光の包まれ、白く塗り潰されたのだった。

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