ラハブレアによって発動した、究極魔法アルテマは、全てを光に飲み込んだ。
その光景を見上げながら、私は、闇魔法なのに白い光なんだなぁとか、変なことを考えていた。
『……光の戦士よ!!』
その時、ハイデリンの声が聞こえた気がした。
それと同時に、私達の周囲に透明な障壁が現れたのが見えた。
そして、私は、強烈な光の奔流に、開けていられなくなった目を閉じたのだった。
瞼の向こうに光を感じなくなってからしばらくして、私は、ゆっくりと瞼を開いた。
「……なに…これ……」
そこにあったのは、激変した光景だった。
周囲にあった壁はすべて吹き飛び、跡形もなく消し飛んだ魔導城プラエトリウムは、消し済みの様に黒く染まり、そこかしこから炎と爆発、そして黒煙が立ち上っていた。
それは、イフリート戦った時の煉獄を想起させ、実際には、その時以上の地獄絵図が広がっていたのだった。
「なんなのだ、この威力は……このような武器が、このアルテマウェポンの中に……」
アルテマウェポンの中から、驚愕に震えるガイウスの声が聞こえて来た。
流石に、ガイウスもこの威力は予想の埒外のものだったみたい。
「さすがに、この者の身を守るので精一杯だったらしいな。ハイデリンよ。ガイウス・ヴァン・バエサル。貴様の望む力はあたえた。さぁ、思う存分、戦うがいい」
私達を見下ろしながら、アシエン・ラハブレアは、そう、ほくそ笑む様にガイウスに言った後、姿を消した。
「アシエン・ラハブレア……貴様には、戦いの後、聞きたいことがある。しかし、今は! この者らを倒し、我に力有りと証明するッ! どちらが真に”持つ者”なのか。決着をつけようではないか、冒険者!」
そして、今度こそ、絶対の力を手に入れたと確信したのだろう。
ガイウスは、そう言い放つと、再び、アルテマウェポンを動かし、私達に襲い掛かって来たのだった。
「いくぞ、冒険者! 貴様と我……これで最後の戦いだ!」
既に取り込んだ蛮神の力を失ってはいたけれど、それでも、アルテマウェポンは強かった。
腕から緑色の光線を放っては地面を焼き、何処からともなく小さな魔導兵器を呼び寄せては、私達の逃げ場を塞ぐように攻撃してきた。
さらに、それらの攻撃を回避しながら、アルテマウェポンを取り囲むように近づいて戦おうとすれば、エーテルを爆発させて私達を退けてきたのだった。
幸い、それらの攻撃は脅威ではあったものの、蛮神の力を使っていた時の様な、回避不能の大技は無かった。
私達は、出来得る限り落ち着いて、確実に攻撃を避けながら、アルテマウェポンの装甲を削って行ったのだった。
「まさか、ここまで押されることになろうとは……認めよう貴様の力……持つ者は貴様だ。しかし、統べる者は違う。力には力で示そう、我こそがその者だと!」
もう既に、かなりの長い時間戦っている気がする中、ガイウスの感心する様な声が聞こえて来た。
瞬殺できると思っていた私達が、未だに健闘している状況を見ての言葉なのだろうけれど、どこかガイウスの声が余裕ぶって聞こえるのは、きっと、究極魔法アルテマという切り札を持っているが故の事なのだろう。
もっとも、あれだけ強力な魔法が、そうそう連続して使えるとは思えないけれど。
そう思った時、突如、アルテマウェポンの動きが止まった。
「ええい、アシエン・ラハブレアめ……またもあれを撃つ気か!?」
それと同時に、アルテマウェポンから、ガイウスの戸惑ったような声が聞こえて来た。
一瞬、なにが起きているのか判らなかったけれど、すぐに、大量のエーテルがアルテマウェポンに流れ込み始めている事に気が付いた。
『滅びの魔法が……再び放たれようとしています……光の戦士よ、滅びを阻止するのです……あれは絶望の闇……許してはなりません……光のクリスタルに願うのです……闇の力を打ち砕く……光の力を!』
まさかと疑う私の頭の中に、再びハイデリンからの警告が聞こえて来た事で、その疑いは確信へと変化した。
「また、アルテマを使おうとしているみたい! その前に止めて!!」
私は、みんなに警告を伝えると、アルテマウェポンへの全力攻撃を開始した。
動きを止め続けたままのアルテマウェポンは、私達の攻撃を受けても、一切、反撃をしてこなかった。
おそらく、アルテマの発動にすべてのエーテルを回しているのだろう。
それならばと、私達は、防御や回避の事を考えず、とにかく8人全員で攻撃を加え続ける事にしたのだった。
ただ、それでも、固い鋼の巨体は、なかなか傷つくことは無く、その間にもエーテルがどんどん収縮して行くのを感じていた。
ボンッ…。
何度の何度も矢を撃ち込み、剣で切り付け、魔法で攻撃を与えた果てに、遂に、アルテマウェポンの胴体に、小さな爆発が起きた。
その爆発は連鎖するように、一つ、二つと増えていき、やがて大きな爆発をも発生させてゆく。
「なせだ、なぜ……うぉっ!」
アルテマウェポンが爆発に包まれてゆく中、ガイウスが中から弾き飛ばされてきた。
床に叩きつけられたガイウスは、その衝撃のせいか、その金色の鎧は、再び漆黒の鎧へと変化していた。
「⺠が、力無き者に導かれ、神に縋るがゆえに、世が乱れる……愚⺠を作るのは弱き為政者……弱き為政者を作るのも、愚⺠なのだ……」
相当にダメージを受けているのか、立ち上がる事も出来ないまま、ガイウスは独り呟いた。
「誰かが力を持たねば、この流れは断ち切れぬ……貴様ほどの力を持つ者が、なぜこの真理を理解せん……」
そして、ガイウスは私を睨み付けると、そのまま意識を失った。
キイィィィン…
そして、それに呼応するように、爆発を繰り返していたアルテマウェポンが白く光り始めた。
どうやら、吸収したエーテルを抑えきることが出来ず、暴走を始めている様だった。
やがて、甲高い音と共に、アルテマウェポンの内部から光が溢れだし、その巨体を包み込んだのだった。
「……」
その眩しさに目を閉じ、再び開けた時には、既にそこにアルテマウェポンの姿は無かった
私は、姿を消したアルテマウェポンの横に倒れる、ガイウスの姿を見下ろしながら、構えていた弓を下したのだった。
アルテマウェポン撃破おめでとうございますー。
ガイウス閣下は力を求めるあまり、組む相手を間違えたようです。
強いカリスマと指導力を持った初代皇帝によって大きく発展した国みたいなので、実力主義とか選民思想が蔓延してそうですね、ガレマール帝国。
ガイウス「奴(ラハブレア)を訴えたい」
フォムト「裁判起こすのはいいけどさ……アシエンを疑った時点でアルテマウェポン降りろよ、おっさん。あとエオルゼアから出てけ」
ありがとうございます!
皆さんのおかげで、なんとか、アルテマウェポンを撃破することが出来ました(^▽^)/
ガイウスのやり方は、ある意味解りやすいやり方ですけど、結局、それを超える力が現れた時に覆されちゃうんですよね…。
あと、最後の方は、大きな力に振り回されちゃってた感も強かったですね(;’∀’)
(´・ω・`)ガイウスさんもイーディスたんの可愛さには敵わなかったよー。
(´・ω・`)可愛いは正義よー。
可愛いだなんて、恐れ多いです(;’∀’)
でも、ありがとうございます(^▽^)/
ガイウスも、可愛いものを愛でる事が出来れば、こんなことにはならなかったかも知れないですね…。