異世界の詩

見習い詩人のエオルゼア冒険記ブログ

新生エオルゼア

魔導城プラエトリウムでの戦いから数日後。
私は、モードゥナの銀泪湖近くに用意された、式典の会場へとやって来ていた。
会場には、暁のみんなや、各国のグランドカンパニーの人達が数多く集まり、それぞれ、談笑に興じていた。

「そろそろだ」

誰かが、そう言ったのが聞こえると同時に、私達の前へと各国の首脳達がが進み出て来た。
3人は、それぞれ自分の国の国旗の下へと立つと、私達へと向き直ったのだった。

 

「我々は帝国の切り札、アルテマウェポンを撃退し、闇の勢力アシエンを退けた。エオルゼアの当面の危機は 回避されたと言えよう」

ラウバーン局長の言葉で、式典は開始された。
それに続いて、メルヴィブ提督、カ・ヌエ様が言葉を連ねていく。

「エオルゼアはまだ多くの問題を抱えている。猛威を振るう蛮神 蛮族の問題、各々の国内問題もまた然り。軍団⻑を失ったとはいえ、ガレマール帝国の軍勢が去ったわけでもない」

あの戦いの後、軍団長や将軍達を失ったガレマール帝国軍は、各要塞に引き篭もって沈黙を守っている。
指揮系統を失って混乱をきたしている今こそ、追い討ちをかけるべきだという声もあるけれど、物量で勝る上に、籠城の構えを見せている帝国軍に、各国とも手を出しかねているみたい。

そして、アシエンの姿も、あれからぱったりと目撃情報が消えていた。
もともと、影に闇に潜んで行動する輩なので、あまり情報は出てこないのだけれど、やっぱり、アシエン・ラハブレアが退けられたことで、彼らも警戒をしているのかも知れない。

もっとも、それで手を引く連中だとも思えないけれど…。

 

「我々は グランドカンパニーの盟主として話し合った。グランドカンパニーは、それぞれの国を守りつつも、もっと広く、エオルゼア全体を見渡していくべきだと。そのために 常に相互協力していくべきだと」

ラウバーン局長が、両手を広げながら、高らかに声を上げた。
それは、これまでの、都市軍事同盟という、ガレマール帝国に対抗する事のみを対象とした、狭い協力関係ではなく、より、大きな目的を目指した協力関係の構築を宣言したものだった。

グランドカンパニー・エオルゼア。

もし、それが実現できれば、難民問題や蛮神問題といった、国を跨いでの難題だけではなく、この先、大きな困難がエオルゼアを襲ったとしても、きっと手を取り合って解決して行くことが出来るだろう。
それは、容易に実現できる道ではないかも知れないけれど、でも、きっと、いつか必ず実現できるだろうという希望はある。

盟主たちの言葉を聞いて、私は強くそう思ったのだった。

 

「5年前のカルテノーの戦い。そして、それより始まった第七霊災は、多くの犠牲を出してきた。これは忘れてはならない事実だ。犠牲者に、再度、哀悼の意を示そう。しかし我々は生きている! ここに立っている! 平和を守るために散っていった同胞の想いを無駄にしないためにも、我々は前に進もう」

メルヴィブ提督のその言葉は、第七霊災の追悼式典の際に聞いた時と同様に、力強い拳と共に語られた。
その拳は、想いの強さが滲み出るかのように、固く、力強く掲げられている。

「私たちがこれまで生きてきた第六星暦は、第七霊災をもって終焉しました。第七霊災もまた、人々が絆を深め合い終焉を迎えるのです」

カ・ヌエ様がそう言うと、3人はお互いに向き合い、頷き合った。
そして、各々、自分の手にある武器を打ち合わせると、頭上へと掲げ上げた。

 

「今、我々は第七霊災の終焉を、そして、今ここに新しい時代の幕開けを! 第七星暦元年を宣言するものである! ”新生エオルゼア”の誕生だ!」

そう高らかに宣言した首脳達に、周囲の人達が一斉に歓声を上げる。
その喜びの声は、蒼く晴れ渡ったモードゥナの空へと吸い込まれていく。

私は、そのみんなの喜ぶ姿を、笑顔を、万感の思いで見つめながら、笑みを浮かべたのだった。

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