異世界の詩

見習い詩人のエオルゼア冒険記ブログ

グランドカンパニー 後編

「⻩金の砂嵐が吹くウルダハに集いし、熱き魂を持つ者どもよ!」

次に向かったのは、ウルダハだった。
ウルダハのグランドカンパニー盟主、ラウバーン局長の声が、謁見の間に響き渡る。

その迫力のある声と言葉は、傍聴していた人達の体を震わせ、魂をも揺さぶらんとしているかのようだった。

「ラウバーン局⻑の後ろ……。ウルダハの国旗を見てごらん」

その時、また、どこからともなく現れた、アルフィノくんが話しかけて来た。

「あの絵柄は、黑地に金の天秤という意匠さ。天秤の左側には「富を表す宝石」、右側には「力を表す炎」が置かれている」

金の天秤という、如何にも交易都市らしい意匠だなと思う。
でも、この天秤の均衡が崩れた時、ウルダハはどうなってしまうんだろうとも考えてしまう。

実際、今のウルダハは、この均衡が揺らぎかけているようにも思える。
国中に溢れる難民の問題、活発に活動しては脅かしている蛮神問題、国の一部を占領されている程、逼迫している帝国問題。
それに対して、私腹を肥やすことに執心し、それらの問題から目を背け続けている者が多いという現状。

局長の演説も、その状況を打破すべしという訴えで締め括られていた。

そして、一通りの演説が終わったと思った時、局長が身を屈め、後ろに控えていたララフェルの少女を方に乗せて立ち上がった。
豪華な衣装に身を包み、高貴な雰囲気を纏うその少女は、自らを、ウルダハ第十七代国王、ナナモ・ウル・ナモであると名乗った。

そういえば、ウルダハは、他の国と違って、王政をしていてる事を思い出した。
とはいうものの、その権威は形骸化の一途を辿り、今では有力商人で構成される共和派による寡頭制に取って代わられているらしいけれど。

「わらわから言うことは1つだけじゃ。ウルダハの⺠よ! わらわとともに、エオルゼア全土を、ウルダハのごとく繁栄に導くのじゃ!」

ナナモ陛下からの言葉も、局長と同じように、一致団結すべしというものだった。
ただ、微妙に、局長とは違うニュアンスを使っていたので、見据えてる先が違うのかもしれない。

演説が終わり、アルフィノくん達も去った後、私は、その事を考えながら、国旗を見上げ続けるのだった。

 

 

 

最後に訪れたのは、グリダニアだった。
ミィ・ケット広場に集まった人達の中には、弓術士の先輩である、レイさんの姿も見える。

「今から500年前の遠い昔より、大地と豊穣の女神ノフィカ様の御光を受け、グリダニアという大樹は、繁栄を続けてきました」

グリダニアの盟主、カヌ・エ様の演説が静かに始まった。
ゆっくりと、諭すように進む、彼女の演説は、メルヴィブ提督やラウバーン局長の様な迫力こそなかったものの、その言葉から溢れる力強さは、決して引けをとるものではなかった。

「カヌ・エ様の後ろ……。グリダニアの国旗を見てごらん」

そして、やはりここでも姿を現したアルフィノくんが、話しかけてくる。

「絡み合う2匹の白蛇は、ヒューランとエレゼンの2種族の協力を示しているのさ。建国の話通りにね」

花の周りに絡み合う2匹の白蛇の意匠は、自然との調和と協調を、強く示しているかの様に見える。
ただ、カヌ・エ様の話にもあった通り、今では、ミコッテ族も、グリダニアと深い関係にあるのだから、白蛇も一匹増やしても良いんじゃないかなーとも思う。

カヌ・エ様の演説は、主にガレマール帝国との闘い、特に5年前のカルテノーの戦いについてのものだった。
その後、世界を襲った第七霊災の影響と憂い、今こそ皆で手を取り合い、この難局に立ち向かうべきだと続いた。

「カルテノーの戦いは、とても悲しい戦いでした。あの戦いで亡くなられた、数多くの同胞に哀悼の意を表します」

そして、静かに、3国の中で一番長い時間、黙祷が捧げられた。

「記憶を無くしている連中が、誰に哀悼するっていうのよ……」

皆が黙祷を捧げる中、アリゼーちゃんが小さく呟くのが聞こえた。

みんな、第七霊災の時の事は、記憶が曖昧になっているのは確かだけど……でも、犠牲になった人達がいた事は知っている。
例え、顔や声、名前すらも思い出せないとしても、その人達を想う事は、決して悪いことじゃないと思う。
もしかしたら、アリゼーちゃんは何かを知っていて、嫌悪感が出てるのかもしれないけれど…。

そして、最後に、調和と協調を改めて訴えて、カヌ・エ様の演説は幕を閉じた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ようこそ「双蛇党」へ! 既に連絡は受けておりますよ」

そして、私は、双蛇党への加入を決めた。
どの国の演説も、それぞれ、考えさせられるものがあったのだけれど、やっぱり、グリダニアが一番、全体幸福を目指しているように感じたし、積極的に争いを激化させようとはしていないと感じたからだ。

とはいえ、私の目的は、世界を巡って、それを詩にしたいという事。
グランドカンパニーに所属することで、それを達成する助けになるのであれば良いなと程度の理由なので、あまり、積極的に活動する気もないんだけど…。

そうもいかなくなるのかなぁ…。

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