異世界の詩

見習い詩人のエオルゼア冒険記ブログ

シルフの仮宿へ

「……何の用でふっち? ここは、わたぴらの里なのでふっち。「挨拶」もできないようなら、さっさと帰るでふっち」

双蛇党からの依頼で、シルフ族の蛮神関係の動向を調査してほしいとの依頼で、東部森林の奥、シルフの仮宿と呼ばれる、シルフ族の集落へとやってきた私を出迎えたのは、強い警戒心と忌避感だった。

「あたしたちは、グリダニアの使者として来たの」
「あなたたちの神である「ラムウ」のことについて、少し話をしたいんだ。……⻑老は居られるかな?」

イダさんとパパリモさんが、露骨に警戒心を示すシルフに、訪問の理由を説明してくれた。

「ええ? グリダニアから来たのでふっち? 困ったでふっち……」

2人の言葉を聞いて、驚くシルフ。

「……でも、やっぱりダメなのでふっち! 知らない「ヒト」は、信用できないのでふっち! わたぴが話すことは何もないのでふっち。⻑ちゃまの居場所も、教えられないのでふっち」

でも、逡巡した後、やっぱり、返ってきた言葉は、拒否の反応だった。

「うー、すっごい警戒されてる……。あたしたちって、そんなに嫌われることしたっけ?」

イダさんの言葉に、パパリモさんが、お手上げという風に肩を竦める。

ともかく、信用を得ない事には、どうにもならなそう。
私達は、手分けして、他のシルフにも話を聞いてみる事にしたのだった。

 

「こちらこそ、よろぴくでふっち〜」

仮宿にいるシルフ達に、挨拶をしながら話を聞いて回ってみた感じ、さっきの様な頑なな拒否感は感じられなかった。
みんな、挨拶をちゃんとすれば、普通に話してくれる。

その辺りは、人と変わらないよね。

そうすると、あのシルフだけが、頑なだという事になるんだけど…なんでなんだろう…?
なにか理由があるのかしら。

「おつかれさま! みんなの評判、良いみたいだね! なんだか、この集落の雰囲気も和らいできたみたいだよ!」

そんなことを考えていると、イダさんが声をかけてきた。
どうやら、挨拶しながら、話を聞いて回ったことで、多少は、シルフ達の警戒心を解くことが出来たみたい。

「イーディス、君は冒険者だ。これまで困ってる人たちの依頼を解決してきた。依頼主は喜んでいたはずだ」
「シルフ族も、同じように困っている事があると思うんだよ。それを解決すれば、少しは信用を得ることができるんじゃないかな?」

イダさんの隣に居たパパリモさんが、なにか、困りごとを解決してみてはどうかと提案してきた。

なるほど。
それはその通りかも。
そう思った私は、グリダニアから派遣されて、この仮宿に常駐しているという、イメディアさんに話を聞いて、シルフ族が困っているという案件を教えてもらったのだった。

 

 

「ままま、まだ居たのでふっち? いくらみんなに挨拶ちても、わたぴは信用しないでふっち」

イメディアさんから聞いた、シルフ族の困り事を解決した私は、手土産をもって、再び、コムシオという名前のシルフの元を訪れた。
相変わらず、警戒心を解いては貰えていなかったものの、その手土産と、シルフ族に害をなすモンスターの討伐を告げると、それも和らいだ様だった。

「……わたぴたちが、ここにやってきてから、いろいろあったのでふっち。だから、知らない「ヒト」は信用できなかったのでふっち」

そして、コムシオちゃんが、ぽつりぽつりと話しはじめてくれた。
どうやら、最近、仮宿の周辺に、妙な鎧を着た輩(おそらくガレマール帝国兵と思われる)が出没しているらしく、その不審者に、仮宿が壊されるのではないかと警戒しているみたい。
シルフ族からすれば、人の見分けなんて難しいだろうから、私達にも警戒するのは当然のことなのだろう。

「頼りになるアナタに、お願いがあるのでふっち。仲間の「クラクシオ」が、ひとりで仮宿から出ていっちゃったのでふっち」

コムシオちゃんが言うには、どうやら、シルフ族の仲間の一人が、仮宿から出て行ってしまったらしい。
しかし、仮宿の外には魔物も多いし、帝国兵の件もある。
心配したコムシオちゃんに、今すぐにでも、そのシルフを連れ戻してほしいとお願いされ、私は、二つ返事で、その依頼を引き受けることにしたのだった。

 

「誰でふっち? ……仮宿に帰れって言うのでふっち? イヤなのでふっち! ゼッタイ帰らないのでふっち!」

クラクシオちゃんは、仮宿のすぐ近くで見つけることが出来た。
しかし、彼の意志は固い様で、頑として帰るつもりはない様で、さらに森の奥へと姿を消してしまったのだった。

「ええ? クラクシオは帰ってこないのでふっち!? おまけに、森の奥に行っちゃったのでふっち!?」

その事をコムシオちゃんに伝えると、ひどく驚いていた。
聞けば、どうやら、仮宿のシルフ達が悪い子シルフと呼んでいる、テンパード化したシルフが、森の奥へと入っていくのを見たのだという。

悪い子シルフは、普通のシルフをテンパード化しようとする習性があるらしく、クラクシオちゃんも連れ去られてしまうのではないかと、コムシオちゃんは心配しているみたい。

私は、急いで、クラクシオちゃんの後を追いかけたのだった。

 

「さっきの冒険者でふっち!? んもう、シツコイのでふっち……。仮宿には帰らないったら帰らないのでふっち!」
「……わわ、悪い子シルフ!?」

茨の森の最深部で、クラクシオちゃんを見つけることが出来た。
しかし、同時に悪い子シルフにも見つかってしまい、クラクシオちゃんを取り囲んだのだった。

「ワタチたちは仲間……一緒に、神ちゃまのところに帰るでふっち」
「イヤでふっち! 悪い子なんて、大嫌いでふっち!」

やっぱり、悪い子シルフは、クラクシオちゃんを連れ去るつもりの様だ。

「そいつらは、テンパードにされたシルフ達だ!」
「そうなっちゃったら、もう、こちらの言う事は通じない……こうなったら、やるしかないね……クラクシオを助けるよ!」

丁度、駆けつけてきたパパリモさん達と共に、私は、クラクシオちゃんを助けるため、悪い子シルフとの間に割り込んだのだった。

 

「邪魔でふっち……森の仲間を呼ぶでふっち……!」

悪い子シルフの一人がそういうと、なにやら向こうの方から地響きのような音が聞こえてきた。
慌ててそっちを見ると、モルボルが一体、こちらに向かってきている。
どうやら、さっきの悪い子シルフに呼び寄せられたようだ。

「モルボルだって!? テンパードのシルフに操られているのか!」
「うへぇ……モルボルはアタシとパパリモで抑えるから、キミは悪い子シルフたちをお願い!」

パパリモさんと、イダさんが、呼び寄せられたモルボルを抑えに走る。
私は、その間に、クラクシオちゃんを守りつつ、悪い子シルフを何とかすることになった。
パパリモさんの見立てだと、悪い子シルフを何とかすれば、操られているモルボルは、森に帰って行くだろうという事だった。

シルフは、もともと体躯が小さいこともあって、非力な種族なのだけど、魔力の扱いに関しては、人よりも長けている。
私が、弓矢で遠距離から攻撃するのと同様に、彼らも、距離を開けて、魔法で攻撃してくるので、必然的に射撃戦になるのだけれど、時折、状態異常系の魔法も混ぜてくるので質が悪い。
こちらの状況を見て、パパリモさんが回復魔法で援護してくれなければ、押し切られてしまったかもしれない。

「うぅ、臭い〜! どうにかしてよ、パパリモ!」
「僕だって我慢してるんだ! あと少し……テンパードたちを倒せば、きっと!」

向こうから、二人の悲鳴が聞こえてくる。

わたしは、しっかりと、でも素早く、狙いを定めると、悪い子シルフを一人づつ、無力化していったのだった。

 

「ふぅ。なんとか、撤退してくれたか」

最後の悪い子シルフが逃げていくと同時に、パパリモさんの見立て通り、モルボルも森の奥へと帰って行った。

なんとか、守りきれた。
そう安堵したところに、コムシオちゃんが、文字通りに、慌てて飛んできた。

「クラクシオ! 怪我してないでふっち!? 悪い子シルフになってないでふっち!?」
「コムシオ……どうして助けてくれたのでふっち? 仮宿を出ていったアタピのこと、嫌いぢゃないのでふっち?」

私には、シルフ族の表情はいまひとつ読み取れないものの、クラクシオちゃんが、戸惑っているのは判った。
そして、コムシオちゃんが、本当に心配していたという事も。

「クラクシオは大事な仲間なのでふっち! この冒険者も心配ちてくれたのでふっち。だから、助けるのはあたりまえのことでふっち!」

それを聞いた、クラクシオちゃんが、安堵からか涙を零した。
その雫は、朝露の様に、小さな頬を伝っていく。

「コムシオ……ごめんなさいふっち……。アタピは怖かったのでふっち」

俯きながら、クラクシオちゃんが、呟く。

「仮宿のみんなが、シルフ族以外と仲良くしてたから、神ちゃまと一緒にいる子たちみたいに変わってしまったと思ったのでふっち。でも、仲間のことが大事なのは変わってないのでふっち。アタピがおばかだったのでふっち……」
「……助けてくれて、ありがとうなのでふっち。「ヒト」にも良い子が居たのでふっち。先に、コムシオと仮宿に帰ってるでふっち!」

クラクシオちゃんは、そういうと、私達に頭を下げて、コムシオちゃんと共に、仮宿へと帰って行ったのだった。

「一件落着だな。さて、僕たちも一度、仮宿へ帰るとしよう。……モルボルの臭いも落としたいしね」
「うう……くさい……」

イダさんの嘆きに、思わず苦笑いを浮かべてしまう、私なのだった。

2 Responses to “シルフの仮宿へ”

  1. こむ より:

    わーーーパパリモやイダとほんとに冒険してるーーー!!
    そっかーーー。クエスト進めてくとどうしても、皆と一緒に事件を解決っていうよりも自分1人で解決しちゃってる感じがしちゃってたんだけど、ほんとはこうやって交流とったりしてるんだよなーーー。
    なんかとてもほっこり。

    1. イーディス より:

      こむさん、いらっしゃいませ~(^▽^)

      冒険を進めていると、いろんなNPCが出てくるんですけど、みんな、魅力的なキャラクターばかりなんですよね。
      だから、ついつい、話に絡めたくなっちゃいます!
      私の主観だけだと、どうしても単調になっちゃいますし…(;´∀`)

      コメント、ありがとうございました!
      これからも、よろしくお願いします!(∩´∀`)∩

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