異世界の詩

見習い詩人のエオルゼア冒険記ブログ

シルフ族と蛮神ラムウ

「おや、もしかして、お前さんが助けてくれたのでぶっち? いやはや、ありがとうなのでぶっち!」

繭に捕らえられていたのは、仮宿に住むシルフ達の長、フリクシオ長ちゃまだった。
聞けば、帝国の追手から逃げ、このトトラクの千獄に逃げ込んだところで、黒い衣の者、アシエンに捕らえられ、魔物の餌にされそうになっていたのだという。

「ところで、お前さんは、こんなところで何をしているのでぶっち? もしかちて、ワチシを探していたのでぶっち?」

私は頷き、そして、蛮神ラムウの事を聞きたいと、長ちゃまに告げた。

「わかったでぶっち! とりあえず、ここから出たら、シルフの仮宿に来るのでぶっち。そこで、改めて助けてくれたお礼と、ラムウちゃまのお話をするのでぶっち!」

そういう長ちゃまを連れて、私達は、トトラクの千獄を後にしたのだった。

 

 

「冒険者どの! 「トトラクの千獄」では世話になったでぶっち。あらためて、お礼を言うのでぶっち。お仲間の方々も、ノラクシアを助けてもらって、本当にありがとうなのでぶっち!」

バスカロンドラザースに戻り、パパリモさん達と共に、再び、シルフの仮宿を訪ねた私達を、フリクシオ長ちゃまが歓迎してくれた。
助けを求めに駆け込んできたシルフも、怪我をしていたけど、パパリモさんのおかげで大事には至らなくて、そことも含めて、長ちゃまは喜んでくれた様だった。

「早速ですが、⻑老。僕たちはグリダニアの使者として、ここに来たのです」

そういって、パパリモさんに促され、双蛇党から渡されていた書簡を、長ちゃまに手渡した。

「……なるほどなのでぶっち。グリダニアの⺠は「ラムウ」ちゃまを警戒しているのでぶっち?」

書簡に目を通した長ちゃまが問いかけてくる。

「端的に言うと、そうなります。でも、この件で事を構えたいわけじゃない。グリダニアも和平を望んでいる」
「シルフたちは過去に一度、「ラムウ」を神降ろししたよね? あれ以来、音沙汰ないから、みんな不安なんだよね」

その言葉を受けて、長ちゃまが、ラムウを降ろした経緯を話してくれた。

森に侵攻してきた、帝国を排除するために、神降ろしを行ったこと。
長ちゃまを始め、仮宿に住む、シルフたちは、それに反対したこと。

そして、ラムウは、守護と調停の神であり、シルフ領に侵入することがなければ、なにもしてこないということ。

「ワチシは、何とかテンパードになった一族を、元に戻したいのでぶっち……でも、その方法が解らないのでぶっち……だから、どうか、しばらく時間がほしいのでぶっち」

そういって、長ちゃまは、とても寂しそうに表情を曇らせた。

 

とりあえず、これで、今回の依頼は完了かな。
みんな無事で、本当に良かった。

「……冒険者どの、待つのでぶっち」

ひと足先に、砂の家に戻って報告するというパパリモさん達を見送っていると、長ちゃまが声をかけてきた。

「お前さんには、助けてもらった礼をまだしてないのでぶっち。これを受け取ってほしいのでぶっち」

そう言って、長ちゃまは、紫色に輝くクリスタルを取り出した。
今まで手に入れた、二つの光のクリスタルとよく似ている。

「このクリスタルは、以前、「ラムウ」ちゃまが神降ろしちた時に、くださったものなのでぶっち」

そのクリスタルを受け取ると、これまでと同様に、自分の中で、何かが解放されるかの様な感覚が走った。
長ちゃまも、それを感じられたようで、自分の直感は、間違っていなかったと確信していたようだった。

「冒険者どの……。お前さんは、きっとワチシには計り知れない過酷な運命の中にいるのでぶっち。きっと、いつかクリスタルが役に立つのでぶっち。その時まで、持っていてほしいのでぶっち。ワチシらの信頼の証でもあるのでぶっち」

わたしは、笑顔で、長ちゃまの言葉に頷いたのだった。

 

こうして、シルフ族の蛮神召喚に関する調査依頼は、完了した。
なんだか、だんだん、大変になってきている気がするのは、気のせいかしら…。

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