「うーん。フカフカのベッド最高〜♪」
ゴーレムを倒し、危機に陥っていた道士さん達を助けた私に、用意されていたのは、宿「とまり木」の使用許可とリーグの受託許可だった。
今までも、泊まるところがなかったわけでもないのだけど、相部屋だったし、決して快適な空間というわけではなかった。
とまり木に用意されていた部屋は、なんと個室!
部屋の中には、小さな噴水に花が置かれて、すごく良い感じ。
実家の自分の部屋は、おねぇちゃん達と一緒の部屋だし、それが嫌ってわけでもないけど、こういう素敵な、自分だけの部屋って憧れるのよね。
リーグの方は、まだ詳しい話を聞いていないんだけど、冒険者向けの仕事の斡旋をしてくれるらしい。
まぁ、そっちはおいおいで良いかなー。
ふかふかのベットを堪能した後、ミューヌさんにいわれて、ベントブランチ牧場へと向かった。
ベントブランチ牧場は、チョコボの育成を行っているところで、グリダニアだけではなく、リムサ・ロミンサやウルダハも、その恩恵に授かっているらしい。
そのベントブランチ牧場にも、エーテライトクリスタルがあって、それと交感することで、テレポの魔法が使えるようになった。
まだ、グリダニアとここにしか、テレポできるところはないけれど、だんだん、いけるところが増えていくのかなー。
なんだか、冒険が広がっている感じがして、すごくワクワクする。
「ねぇ、貴女。冒険者よね?」
その時、エーテライトの傍らにいた人が話しかけてきた。
マージェリアさんと名乗るその人は、異邦人である冒険者でも家を持てるという噂を聞いて、その真偽を確かめてほしいらしい。
家!?
自分の部屋どころか、家を持てるの!?
気になる! もの凄く気になる!!
マージェリアさんがいうには、ラベンダーベットというところが、家を買えるところなのだという。
詳しい場所を聞いた私は、他の事そっちのけで、そこに向かったのだった。
そこは、とてもとても素敵なところだった。
夕暮れ時にいったせいか、とても幻想的で、今まで見たことの無いような空間がそこにはあった。
本当に、こんなところに家なんて持てるのだろうか。
それこそ、王女様とか、ずっと偉い人とかお金持ちしか買えないんじゃないだろうか。
「はい。冒険者の方は、ここに家を持てますよ。むしろ、冒険者の皆さんしか、ここでは家を持てません」
その不安は、入り口にいた衛士さんの言葉で吹き飛んだ。
なんでも、グリダニアの冒険者優遇政策の一環で、ラベンダーベットは作られたのだそうだ。
マージェリアさんには気の毒な結果だけど、私的には、すごく吉報だった。
…だったんだけど…。
「せんななひゃくまん…」
既に、ラベンダーベットの分譲地のほとんどは売却され、他の冒険者さんの家になっていた。
残っている土地も17000000ギルなんていう、思わずなんども桁を数えなおしてしまう額だった。
そう、甘くはないかぁ…。
がっくりと肩を落としていると、見かねた衛士さんが、アパルトメントと呼ばれる集合住宅の事を教えてくれた。
そこなら、家を買うほどの高額を用意する必要はないらしい。
自分の部屋が欲しいと思っていた私にとっては、そっちの方が理にかなっている。
早速、リリーヒルズと呼ばれる、大きな建物に向かった。
大きな建物だなー。こんなの初めて見る。
でも、なんだか素敵な雰囲気。
あそこの部屋からの眺めなんて、すごく良さそう!
わくわくを抑えきれない私は、入り口の扉を抜け、ロビーへと入ったのだった。
そして。
「ええー!! ひと部屋、ごじゅうまんぎるーー!!??」
夢のマイルームは遠い…。