「…なんか…期待していたのと違う…」
長老の木を守った後、グリダニアの盟主、カヌ・エ・センナ様に、大御霊祭りという、国儀の主役に指名された。
カヌ・エ様や、リュウイン隊長など、周りの反応からすると、すっごく盛大なお祭りだと思ったから、それこそ、すごく綺麗な衣装とか着られるかなーと思って二つ返事で了承したんだけど…渡されたのは、木彫りの仮面だけだった…。
しかも、なんか、あまり可愛くない…。
お祭り自体も、すっごく質素な感じで、お祭りというよりは、やっぱり儀式なんだなぁと思った。
べ、別に不満があるわけじゃないよ?
凄く名誉なことなんだしね?
ただ…せめて、冒険で薄汚れちゃってる服じゃなくて、もう少しいい服着たかったなぁ…。
そんな、不遜なことを心の中で呟きながらも、どんどん、儀式は進行していく。
やがて、カヌ・エ様が、広場のステージに上がり、宣言を行っていた時、持っている光のクリスタルが反応し、胸元から光がもれた。
「その輝きは一体……?」
それを見たカヌ・エ様が、驚きとともに訪ねてきた。
私が、これまであったことを説明すると、目を見張り、なにかを大事なものを思い出すかのように目を閉じた。
「マザークリスタル……星の意思が、あなたにそれを持たせた意味がきっとあるはず。なぜなら、あなたは「超える力」を持っているのですから」
その時、また、あの感覚がやってきた。
切り株の時、ゴーレムを倒した時に感じた、遠くに落ちていく様な感覚。
…過去が…来る…。
それは、たぶん、第七霊災の時のこと。
真っ赤に焼ける空は、夕日のそれとは違って、とても禍々しかった。
この空は、私も知っている。
あのとき、家から見上げた空と、同じ色だ。
そして、この後、何か、咆哮のような音が聞こえて、さらに世界が赤く染まっていったことを覚えている。
家族や村の人から、三国は戦争をしていると聞いていたけど、こんなことになっていたんだ…。
もしかして…おねぇちゃんは、こんな中に居たの…?
やがて、過去の情景は、黒いローブの人を映し出す。
長老の木を守るときに戦った、アシエンって言ったっけ。
一体、彼らは何なんだろう…。
気が付くと、私はベットで横になっていた。
同時に、部屋にミューヌさんがやってきて、祭りの最中に倒れた私を、介抱してくれたことを告げられた。
うーん…この過去を見る現象、街中で突然起きたりしたら、ちょっと怖いなー。
ミューヌさんにお礼を告げると、カヌ・エ様が、不語仙の座卓というところで待っているとの話を聞いたので、そちらに向かうことにした。
そういえば、カヌ・エ様は、この過去視について、なにか知っているみたいだったなー。
不語仙の座卓に着くと、カヌ・エ様は、待ちかねていたように、話を始めた。
どうやら、私に、リムサ・ロミンサと、ウルダハの盟主へ、親書を届けてほしいらしい。
そして、その足として、飛空艇を使う許可証を渡してくれた。
「これが、飛空艇搭乗許可証…」
思わぬ形で、飛空艇に乗れることになっちゃった。
いろいろバタバタしてたせいで、ちょっと忘れかけてたけれど、これで、お姉ちゃんを探しに行ける!
私は、力強く頷いて、カヌ・エ様からの依頼を承知したのだった。