異世界の詩

見習い詩人のエオルゼア冒険記ブログ

雪原の魔獣

「スノークローク大氷壁に魔獣が出没しているらしい」

ある日の事。クルザスのドラゴンヘッドでそんな噂話が聞こえて来た。
なんでも、相当に凶悪な魔獣が出没していて、ホワイトブリム前哨地の騎兵達ですら手が出せない状況らしい。
最初、ドラゴン族なのかと思ったのだけれど、どうやら違うみたいだし、かと言って蛮族というわけでも無いみたい。

……私が行ってどうにかできるものでも無いかもしれないけれど、とりあえず様子見だけでもしてこようかしら……。

そう思った私は、急いで、大氷壁の方へと向かったのだった。

 

「……なんだか、沢山の冒険者が集まっている……?」

スノークローク大氷壁に近づくにつれて、私は、同じ方向に進んでいる冒険者の姿が増えてきたことに気が付いた。
どうやら、私と同じ様に、魔獣が目的で集まってきている様だった。

「そこの君!」

その時、近くに居た冒険者さんに声を掛けられた。
どうやら、噂の魔獣を討伐するための部隊を編成しているらしい。
一人でも多くの手を借りたいというその声に、私は応じることにしたのだった。

 

「……なに……あれ……」

そこから、彼らと共に奥地へと進むと、更に多くの冒険者達が、岩陰から向こうを伺うように待機しているのが見えた。
そして、その彼らの向こう、スロークローク大氷壁の調査隊キャンプの傍に、それは居た。

それは、巨大な岩山の様な魔獣の後ろ姿だった。
真っ黒な体毛に覆われたその巨体は、30ヤルムは軽く超えそうな程の大きさを持ち、隆々と盛り上がる筋肉に包まれた四肢は、大木の幹のごとく太かった。

「あれが、魔獣ベヒーモスだ……」

誰かが、そう呟くのが聞こえた。

後で聞いた話だけれど、あの魔獣は第七霊災の折、この近辺の山に突き刺さった「ダラガブの破片」と呼ばれるものから這い出て来たのだという。
そこから、伝説の魔獣、バハムートの子供という意味で、ベヒーモスと呼ばれているらしい。

更に驚くべきことに、実は、ベヒーモスは既に何度か討伐されているらしい。
それにも関わらず、何度も姿を現しているという事は、もしかしたら、蛮神と同じように、何者かが召喚しているのか、もしくは、そのダラガブの破片に、複数のベヒーモスが生息しているか。
どちらにせよ、これだけ離れてても、その脅威をビリビリ感じるぐらいの魔獣なのだから、一筋縄ではいかないだろう。
私は、少しでも役に立てるように、装備を再度チェックしたのだった。

 

それから程なくして、全ての準備が整った私達は、一斉にベヒーモスへと襲い掛かった。
ベヒーモスは見た目通りの凶悪さで、数をものともせずに、襲い掛かる冒険者を次から次へと吹き飛ばしていく。

「攻撃を集中させろ!!」
「こっち、回復魔法をお願い!!」
「一旦下がれ! こっちが引き受ける!!」

沢山のスキルや魔法の光が煌めき、数多くの怒号や悲鳴に包まれた戦場で、私は一心不乱に矢を撃ち込み続けた。
そうしている間にも、ベヒーモスが腕を振るう度に、何人もの冒険者が吹き飛ばされ、倒されていく。

無茶苦茶だ……。

私は、ベヒーモスの力を目の当たりにして、戦慄に震えた。
おそらく、この魔獣の強さは、今まで対峙してきたどの蛮神をも遥かに凌駕している。
なにしろ、私よりも熟練の冒険者が、これだけの数で取り囲んでいるのだというのに、ベヒーモスは全く怯む様子すら見せないのだ。
4人で対処出来ている蛮神とは、比べるべくもなかった。

しかし、それでも、交代でタンクがベヒーモスの攻撃を引き付け、ヒーラーが滝の様な回復魔法の光をタンクに注ぎ込み、アタッカーが、雪崩の様な攻撃魔法やスキルの光がベヒーモスを包み込み続けた。
そして遂に、ベヒーモスはその巨体を引きずる様にして、ベヒーモスの縄張りと呼ばれる雪原へと逃げ始めたのだった。

 

「あともう一息だ! 気合を入れろ!!」

誰かが、そう叫んだのが聞こえた。
なにを根拠に、あと一息と言っているんだろうと、意地の悪い考えが頭を過るものの、たしかに、ベヒーモスの動きが鈍く感じられるようになっていた。
しかし、既にみんなの疲労の色も濃く、こちら側も満身創痍と言っても過言ではない状況に、これっぽっちも気を抜くことは出来なかった。

それから、何度も折れそうになる心を叱咤し続け、倒れた仲間をヒーラーの元へと引きずりながら、私は、矢を撃ち込み続けた。
そして遂に、私は、ベヒーモスが地にひれ伏す姿を見ることが出来たのだった。

一瞬の間をおいて、地響きを上げるような歓喜の声に、雪原は包まれた。
みんな思い思いに喜びを表現し、倒れた人達も回復魔法に包まれながらも、喜びの声を上げている。
私も、周りの人達と一緒に喜びの声をあげ、手を叩き合って、祝福し合ったのだった。

 

魔獣ベヒーモスの討伐。
それは、勲章を貰えるような功績では無いのかもしれない。
だけど、この日、この場所で、自然と集った冒険者仲間たちと成し得た偉業は、深く、私の体と心に刻み込まれたのだった。

2 Responses to “雪原の魔獣”

  1. より:

    ベヒーモス討伐おめでとう!
    前ギィエーム倒しに行った時にベヒーモス討伐の現場に出くわしたことがあります。
    「何も経路上に陣取らんでも……」とぼやきつつ通り過ぎました。

    フォムト「すぐ近くのキャンプ、被害出てそうだけどな」

    1. イーディス より:

      ありがとうございます(^▽^)/

      たまたま、討伐のパーティに紛れ込まさせて頂けて、すごくラッキーでした!
      範囲攻撃を受けちゃったときは、一撃で瀕死状態だったので、タンクさん達すごいなーと遠巻きに戦いながら見てましたw

      近くの調査員さん達のキャンプ、めちゃくちゃになってたと思います(;’∀’)

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