異世界の詩

見習い詩人のエオルゼア冒険記ブログ

テンパード

「サンクレッドから話は聞いたわ。やはりアマルジャ族の目的は、蛮神「イフリート」の召喚だったのね……」

イフリートの討伐を果たし、人質の救出に成功した私は、その報告をする為に、砂の家に訪れていた。
そこには、既にサンクレッドさんが来ていて、粗方の報告は済んでいるようだった。
そして、事件の詳細に関しての説明が、サンクレッドさんから伝えられた。

 

「今回の依頼は、クリスタル強奪、そして貧⺠の誘拐という、2つの事件に関わるものだった」

そういって、サンクレッドさんは、一呼吸置いた。

「実は、この手の事件は、ウルダハに限らず、リムサやグリダニアでも起こっている。表に出ないだけでな」

なんとなく予想はしていたけど、やっぱり、そうなんだ…。

「それが、あなたに理解してほしかった、「蛮神問題」の一端よ」

サンクレッドさんの言葉に、僅かに眉を歪める私に、ミンフィリアさんが言葉を続ける。

二人によると、クリスタル強奪事件は、蛮神を呼び出すために必要な、大量のエーテルの代替え品として、クリスタルが使われている事が理由なのだという。
そして、誘拐事件は、攫った人を信徒化(テンパード)させ、その願いや祈りの力を集めることで、蛮神自体を強化させるための生贄集めなのだそうだ。

今回の件で言うと、イフリートの吐いた青い炎。
あれが、テンパード化させるもので、炎に焼かれたあとの不滅隊の人達の状態が、テンパードとなった人の状態なのだろう。

そういえば、私には、あの炎が効かなかったのは、なんでなんだろう。

「あなたが、蛮神のテンパードにならなかった理由。それは、あなたの力。「超える力」を持つ者は、テンパードにはならないの」

私の疑問を察知したのか、ミンフィリアさんが説明してくれた。
なぜ、超える力があると、テンパードにならないのかまでは、ミンフィリアさんも判らないらしいけれど、この事実は、蛮神問題に対する切り札になる考えているみたい。

実際、テンパードにならなかったからこそ、イフリートを退けることが出来たのだものね。

そして、サンクレッドさんは、今回の組織だった犯行自体が、今までの蛮族の動きとは違ってきている事に懸念を感じているみたい。

 

「ともあれ、あなたたちが無事でよかった!」

重くなった空気を振り払うかの様に、ミンフィリアさんが話題を切り替えた。

「それにしても、蛮神「イフリート」を倒した冒険者か……。フフフ。この後、大きな騒ぎになるかもしれないわよ?」

そういって、なにか期待するような、含みのあるような笑みを浮かべるミンフィリアさんだった。

 

 

 

 

 

「ミンフィリアは敢えて言わなかったようだけどな……」

ミンフィリアさんが、自分の仕事に戻った後、サンクレッドさんが、去り際に小声で話しかけてきた。
それは、とても衝撃的な内容だった。

「ウルダハでは、蛮神の信徒になった人間は、極秘裏に「処分」されてるんだ。蛮神「イフリート」の力を弱めるために、仕方がないこととはいえ……。正直辛い事実さ。これ以上、犠牲者を増やさないためにも、「暁の血盟」は活動し続けなければならない。これからもよろしくな」

処分って……まさか……。

思わず問い返そうと思ったけれど、サンクレッドさんの様子を見て、口をつぐんだ。
その、悔しさと悲しさと遣る瀬無さを混ぜこぜにしたような目を見れば、私でも想像は付く。

思わず、また、重圧を感じそうになってしまったけれど、もう、迷うことはしない。
今度、また、イフリートが召喚されることがあったなら、人々をテンパード化させる前に退ける。

 

それが、私に出来る最善策ならば、それをやり続けることが、一番だと思うから。

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