グリダニアでのシルフ族の一件が解決した後、私は、ミンフィリアさんに依頼されて、トトラクの千獄に現れた、アシエン・ラハブレアの調査を進めることになった。
ウルダハの不滅隊から、東ザナラーンで、アシエンと思われる、仮面の男が目撃されたという情報を得た私は、ハイブリッジと呼ばれる、大渓谷に架かる大橋の周辺で聞き込み調査を開始したのだった。
しかし、調査は空振りが続き、アシエンに、直接繋がる様な手掛かりは得られなかった。
ただ、ラールガーの神符を手にした、アラミゴ人らしき人物が接触してきたことで、なにかしらの関わりがあるのではないかという話になり、私は、南ザナラーンにあるという、アラミゴ人達の集落、リトル・アラミゴへと向かったのだった。
「お前は……冒険者か。このリトルアラミゴに、よそ者が何の用だ」
リトル・アラミゴに着いた私は、グンドバルドさんという、リトル・アラミゴの顔役に会った。
しかし、グンドバルドさんの対応は冷たく、仮面の男についても、なにも話すことはないと、にべもない反応だった。
リトル・アラミゴに常駐している、不滅隊の人の話では、集落に住むアラミゴ人達は、みな、外部の人間とは関わり合いを持とうとしないらしい。
言い換えれば、同胞を仲介すれば、もしかしたら協力を得られるかも知れないという事だったけど、私に、アラミゴの人の知り合いは居ないし…。
仕方がないので、私は、一旦、砂の家に戻ることにしたのだった。
「……なるほど、調査が行き詰まっているのね。アラミゴの人たちが他⺠族を拒絶しているのは、悲しいことだけど納得できるわ」
それまでの調査の報告を兼ねて、リトル・アラミゴの件を、ミンフィリアさんに相談すると、彼女は頷きながら、そう応えた。
「20年ほど前、アラミゴは、ガレマール帝国の侵略を受け、以来ずっと帝国の属州として占領されている……。流⺠たちは、そんな場所から決死の覚悟で逃れてきたのに、どの国にも受け入れて貰えず、偏見や差別にまみれた生活を強いられている現状は、彼らが心を閉ざすのに十分な理由ね…」
そう言いながら、難しい表情を浮かべるミンフィリアさん。
超える力を持ってしても、心の壁を超えるのは難しいと思っているのかも知れない。
「暁の血盟にもアラミゴ出身の仲間がいるの。彼なら、仲介できる人を知っているかもしれないわ」
そういって、ミンフィリアさんは、ハリベルトさんという人を紹介してくれたのだった。
「ああ……まさかアンタの口から、祖国の名が聞けるなんて!」
ハリベルトさんは、アラミゴの名前を聞いた途端、感極まったかの様に声を震わせた。
しかし、同時に肩をガックリと落として、自分自身では、力になれないと呟いたのだった。
なんでも、ハリベルトさんは、かつて、アラミゴ解放軍のメンバーだったらしい。
しかし、今では解放軍を抜けた身であり、解放軍にとっては裏切者に等しいのだという。
「だが、アンタの力になれるヤツを知ってる」
そういう、ハリベルトさんは、クォーリーミルで、アラミゴ流⺠の仲介人をしているという、女性を紹介してくれた。
彼女ならば、きっと解放軍を紹介してくれるだろうという、ハリベルトさんの力強い言葉を受けて、私は、一路、クォーリーミルへと向かったのだった。