異世界の詩

見習い詩人のエオルゼア冒険記ブログ

北のイイ騎士

「その風体、冒険者だな。キャンプ・ドラゴンヘッドは来訪者を拒まない。滞在の間、お前の持つ技術や知識を、おおいに…………イイ……すごくイイぞ……! はぁ、なんてそそる……鍛え上げられた肉体だ……! 美しきララフェル族よ、用件を言ってみるといい!」

キャンプ・ドラゴンヘッドを預かる騎士、オルシュファンさんの第一印象は、もの凄く不審だった。
なんというか、こう、私を見る目が、全身をくまなく見るような感じで……とはいえ、いやらしい感じでも無いのだけど……なんて言ったら良いのか判らないのだけど、妙な身の危険を感じたのだった。

とりあえず、その事からは目を逸らしつつ、フランセルさんから預かった紹介状を、オルシュファンさんに手渡すと、快く協力を申し出てくれた。
とはいえ、やっぱり、霊災前の事な上に、イシュガルドも霊災で大混乱だったらしいので、少々手こずるかも知れないとも言っていた。

冷静に考えれば、第七霊災前は、この辺りは温暖な気候の地域だったという話なので、今の白銀に閉ざされた世界な様子を見れば、当時の混迷は明白だった。
その上、イシュガルドは長く続いているドラゴンとの戦争の真っ只中にあるわけで、そうそう、他事に関わっていられないのも道理だと思う。

まぁ、そんなことを言ったら、アルフィノくんにそれとこれとは別だって言われちゃいそうだけど。

「ともあれ、ここまでの旅程、大変ご苦労だった。友とフォルタン家の名にかけて、現下より、このオルシュファンが力を貸そう!」

オルシュファンさんのその言葉に、私は深々と頭を下げたのだった。

 

「さて……飛空艇の行方を捜すには、我らフォルタン家を含む、四大名家の協力が不可欠だ。広いクルザスの地で、目撃情報を集めようというなら、各地の名家を頼るほか道はあるまい」

そう言って、オルシュファンさんは、それぞれの名家で情報を集めて来ることを提案してきた。
四大名家というのは、イシュガルドでも有力な大貴族の事で、広いクルザス地方の各拠点を、それぞれ管轄しているのだという。

キャンプ・ドラゴンヘッドを、オルシュファンさんも所属している、フォルタン家が。
アートボルグ砦群を、アインハルト家が。
そして、アドネール占星台を、デュランデル家が。

ゼーメル家に関しては、オルシュファンさんが手を回しておくとの事だったので、私は、残りの3家の人に話を聞きに行くことにしたのだった。

 

「ガーロンド・アイアンワークスの飛空艇……? フォルタン家の家中の者たちがささやく噂話なら、なんでも知ってるつもりだけど、聞いたことがないわ」

まず、最初に訪ねたのは、フォルタン家のニーナ夫人だった。
とても嫋やかで上品な夫人は、嫌な顔ひとつせず話を聞いてくれたものの、エンタープライズに関しては何も知らない様だった。

次に向かった、アインハルト家の帳簿係の人も、エンタープライズの事はわからない様だった。
というか、今は異端嫌疑の事でアインハルト家自体が混乱に陥っていて、それどころでは無いというのが実情みたい。

デュランデル家に関しては、そもそも、占星台台長のフォルルモルさんが非協力であったから、オルシュファンさんを頼ることになったのだし、期待はしていなかったのだけど、やはり、頑なな態度は変わらなかったのだった。

 

「ふふ……。雪をものともせず駆けこんでくる姿、とてもイイな……しかしその顔では、有力な情報は得られなかったか」

ドラゴンヘッドへと戻った私の表情を見て、状況を察したオルシュファンさんが、そう言葉を掛けて来た。
後は、オルシュファンさんが手を回したという、ゼーメル家の方だけど、そっちもあまり期待は出来なさそうな気はする。

「失礼します!」

その時、一人の衛士が、オルシュファンさんの元へとやって来た。
どうやら、見張りの衛士の様で、ここの責任者でもあるオルシュファンさんに、報告に来たようだった。

「……!!」

その時、見張りからの報告書に目を通していた、オルシュファンさんの顔色が変わるのが判った。
そして、何かを考える様に、頤に手をあてて目を閉じた後しばらくして、オルシュファンさんは、私の目を真っすぐに見たのだった。

「見張りの騎兵から、気になる報告を受けた。先ほど、フランセルが騎兵たちを連れて、廃墟スチールヴィジル方面へ向かったらしい」

オルシュファンさんが言うには、どうやら、フランセルさん達は、近隣で暴れているドラゴンを討伐するために出立したらしい。
だけど、そもそも、ドラゴンが暴れているなどという報告は、オルシュファンさんの元には入っていない様で、なにかきな臭いものを感じている様だった。

竜眼の祈鎖の件もあり、謀略の気配を感じたオルシュファンさんは、私に、フランセルさんの手助けを頼めないかと提案してきたのだった。

 

 

 

「フランセルさん!」

スチールヴィジルと呼ばれる廃墟の影で、雪原に膝を付いているフランセルさんを発見した私は、慌てて、彼の元へと駆け寄ったのだった。
しかし、私の姿に気が付いたフランセルさんは、必死に、私を制止したのだった。

「イーディス……!? いけない、僕らに近づいては! まだ奴が……!」

その言葉が届くや否や、なにか巨大なものが落ちてくる様な気配を感じた私は、慌てて、その場から飛びのいた。
その刹那、重い音ともに雪煙を上げて、グランエイビスがどこからともなく姿を現したのだった。

私は、フランセルさんを巻き込まない様に、グランエイビスを引き寄せつつ、弓を撃ったのだった。

 

「すまない……僕のせいで……最後にどうしても身の潔白を証したくて、真偽の怪しい情報に、とびついてしまったんだ……」

グランエイビスを倒し、散り散りになっていたアインハルト家の騎兵の人達も助け出した私に、フランセルさんは頭を下げて来た。
フランセルさんや、騎兵の人達の話を聞くだに、どうやら、フランセルさんは何者かに嘘の情報を掴まされてしまったらしい。

普段であれば、そんな情報には見向きもしないのだろうけど、フランセルさん達が、異端の嫌疑をかけられて焦っていたのだろう事は、容易に想像できた。

「……オルシュファンに伝えてくれ。異端審問の日は近い。僕に何かあったら「⻯眼の祈鎖」を追ってくれ、と……」

そういって、傷ついた騎兵と共に、廃墟を去っていくフランセルさんの背中は、あっという間に、降り積もる雪の向こうに見えなくなってしまったのだった。

2 Responses to “北のイイ騎士”

  1. より:

    オルシュファンに会ってきたんですね。
    彼は筋肉フェチみたいで、革細工師のクエストでハーネス頼んでました。
    フォムト(自キャラ)「依頼主がフォルタン家って聞いて、真っ先にあいつの顔が浮かんだわー」

    1. イーディス より:

      オルシュファンさんは、筋肉好きみたいですね~。
      ドラゴンヘッドに詰めている騎兵さん達も、その影響か、やたらとマッスルアピールしてますし(;’∀’)

      そういえば、シドさんも、熱い視線を感じてたらしいので、狙われているみたいです(笑)

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